関西東大会09年8月例会報告(講演:東京大学大学院経済学研究科 伊藤元重教授)
幹事 日笠 賢(昭55経)
下記のとおり8月の例会が開催されましたので、報告いたします。
記
日時:2009年8月5日(水) 講演18:30〜20:00 懇親会20:00〜21:30
場所:ホテルグランヴィア大阪 20階
講師:伊藤元重教授(東京大学大学院経済学研究科)
演題:「日本経済の現状分析と今後の展望」
【講演内容】
伊藤教授は、現在東京大学の経済学部長であられ、翌日には大学のオープンキャンパスを控えるなど大変ご多忙な中で、今回の講演をしていただきました。
演題は「日本経済の・・・」となっていますが、お話は、先進工業各国のベビーブーマー世代の高齢化と運用資金増加による金余りから説き起こされ、現在起きている技術革新のこと、凄まじい勢いで拡大する中国経済、アジアの中間所得層の増加、企業のM&Aによる規模拡大とグローバル競争の実態など、多岐にわたるお話を展開していただきました。海外でのご見聞や、企業経営者との実際のやり取りに加え、数値をふんだんにちりばめたお話に、会員の皆様も時の経つのを忘れて聞き入っておられました。テレビのコメンテーターや、新聞各紙のコラムをご担当されていることでもわかるとおり、良く記憶に残るキーワードを使って(例えば「アメリカの支配層が、WASPからC+I+Aへ」とか、「最大の新興国としてのアメリカ」など)、切れ味鋭くまた大変判りやすいお話をしていただきました。更に、「麻生首相の言い方が拙くて批判されることになったが、『高齢者の方が若い人よりも仕事能力が高いところがあるのは事実』でこれを生かすべき」とのご発言もあり、教授が日本の政策ブレーンのおひとりであることの一面を垣間見た気がします。国内産業では、今後は工夫次第で、医療健康分野や住宅分野が注目されるようです。世界の最先端におられる経済学者の生きたお話を伺う絶好の機会となり、あらためて為替、金利、株式、商品などの動きに加え、経済の動向を注視して行こうと思いました。
講演の最後に質問や意見交換をする時間を取っていただき、次々に質問が飛び出しました。予定の時間を過ぎるまで、教授から熱っぽくかつ大変丁寧にご回答をしていただきました。会員から是非今後とも関西東大会でご講演をしていただきたいとの要望をお伝えする場面もありました。
講演の中、教授から「怖い話をします。これが一番大事かも知れません。」との前置きの下に、「現在の日本のように政府がGDPの150%を超える借金をして、インフレ無しで問題解決(返済)をした国は歴史上ないのです。」とのお話がありました。
そこでご報告の最後に、関西東大会の会員の皆様へのアドバイスです。
まず、今後の日本を支えていく若手の方々へ。インフレが『ノアの方舟』の大洪水の如く、今の日本の閉塞状況を打破し、次の時代がやってくる可能性があります!
一方、守るべき資産をお持ちの方々へ。今後、くれぐれもインフレにはご注意を!!
以上
- 2009.09.23 Wednesday
- 関西東大会主催行事報告
- 22:06
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- by k-todaikai