南信濃の旅 報告

旅行グルメ同好会 渋谷寧伸(文・スケッチ)
岡 良和(写真)

今回は、ロープウエイで中央アルプスの駒ケ岳に登り、山上のホテルに宿泊して大パノラマを楽しむ旅と、本州の中央部を横断しているフォッサマグマ(静岡―糸魚川)に衝突している中央構造線(九州→四国→紀伊半島→南アルプス)の地上露頭部や、「パワースポット」として有名な気場(ゼロ磁場)の分杭峠を包含している「南アルプス中央構造線ジオパーク」を、地元の矢澤先生(阪大理学部卒)の解説で見学する異色の旅であった。

☆台風6号に追いかけられる
3泊4日の旅の最初の地、木曾奈良井宿を歩き始めた途端、携帯に「出来るだけ早く駒ケ岳ロープウェイに来場されたし」との緊急要請電話が入った。この時期、予想もしない台風6号が本州を縦断して我々の旅行先に迫って来たので、ロープウェイ会社は安全のため台風接近前に運転を停めたいと言うのである。止むを得ず、折角地元のボランティアのガイドさんがみえたのに、事情を話して半分割愛し大急ぎで奈良井宿を後にした。

奈良井宿は、約1キロにわたり宿場の町並みを保存している日本最長の宿場だとのこと。町民の保存努力は相当なものだと思うが全部を聞けなくて残念であった。


☆一路木曾谷から伊那谷へ、そしてロープウェイ
バスは狭隘な木曾谷から比較的平地の広い伊那谷へと「権兵衛峠トンネル」を通って木曾山脈(中央アルプス)を越える。10年程前にトンネルが貫通し、山越えの所要時間が90分から45分に半減したとのことだ。トンネル長さ4467m、トンネル標高(木曾側1162、伊那側1062m)。

ロープウェイには当初の予定時刻より2時間早く到着した。会社側は悪天候で利用客が居ないので、我々の乗車を最終便として待機していたようである。定員60名のロープウェイにたった14名の乗車で大丈夫かなと思いつつ乗ってみると、なんと床上の両脇に50キロの鉄の四角い重石が敷き詰められていた。そのおかげでロープウェイは風に揺られることなく、山上の駅に着くことが出来た。


☆ホテル千畳敷にて
客室16室のホテルには我々14名の他にスキー客数名であった。ホテル従業員は男性3名のみで、女性は台風のため緊急下山したらしく不在だった。掲示板には高山病に注意の項があり目を引いた。ここは何しろ海抜2612mだから平地の感覚で行動すると失敗するのだ。特に飲酒については悪酔いに注意とあった。同行者のなかには酒の好きな面々が居たが、流石に皆さん自重されていた。

深夜になるにつれ風雨が益々強くなり、明日は駄目かと諦めて床に入った。ひと寝入りすると風雨の音が聞こえなくなっていたので、カーテンを開いて外を見ると、なんと南アルプスの上空に下弦の月が浮かび、下界には麓の駒ヶ根市の灯が静かにきらきらと輝いているのだ。思わず家内を叩き起こし、この嬉しい夜景を目に焼き付けた。時計を見ると午前二時。台風は時速90キロと予想外の猛スピードで駆け抜けたのだ。


  <中央アルプス千畳敷にて>

予定では朝食後、千畳敷カールの散策となっていたが、ホテルの周囲は雪で囲まれ、スキー以外は何も出来ないので、我々は山上から大パノラマを楽しんだ後、予定を早めて下山をすることにした。

下界は快晴。登るときは霧のなかで、何も見えなかったが山の斜面は瑞々しい新緑に覆われ、昨日と違いロープウェイも発着場も登山客で溢れていた。また、いたるところに猿が屯しているのにはびっくりする。


  <スケッチ 宝剣岳>


☆二日目は工場見学
駒ヶ根市の天台宗別格本山「光前寺」(創建:貞観2年860年)に寄る。樹齢7-800年の巨大杉が林立する境内の石垣のへこみの暗部に光苔を探し、かなりの箇所で見つける。
昼食後、駒ヶ根市の「養命酒」工場、つづいて伊那市の「寒天ぱぱ」工場を見学する。両社とも専任の案内嬢が、会社の宣伝映画の上映と工場案内と手際良く1時間の持ち時間で説明し、笑顔で我々を送りだしてくれた。

☆三日目は一日中、矢澤先生のガイド
快晴の空に雪を頂く中央アルプスを右手に見ながら二日目の宿、伊那プリンスホテルを出発。



<スケッチ 中央アルプス>


高遠で矢澤先生と合流し、先ず中央構造線板山露頭に向かう。
中央構造線とは熊本から四国の北部を東進、紀伊半島を横断して、愛知県渥美半島から北上して南アルプスに繫がる大断層線を言う。板山の露頭は南アルプスジオパークのなかで最北の位置にあると言う。

露頭の現場を前に、取敢えず地層学の初心者向けの知識を授かってから、立杭峠に向かう途中、高遠城址公園に立ち寄る。
矢澤先生は、地元で南アルプスジオパークガイドと郷土史家として郷土史のガイドもなさる86歳とは思えない若々しい方で、高遠の今昔を豊富なエピソードをまじえて面白く聞かせてくださった。

昼食は地元の「B級グルメ:ローメン(ラーメンでも焼きそばでもない創作料理)」をいただいたが、素朴な味でおいしいと好評だった。

昼食後、分杭峠に向かい「気場(ゼロ磁場)」体験をする。

20年前に発見されて、全国から「パワースポット」として若者の人気を集めているらしいが、約30分の体験では気の異常発揚を感じたのは、我々14人のなかでは残念ながら皆無だった。

分杭から諏訪に向かう中途、中央構造線溝口露頭部に立ち寄る。こちらは午前に見た板山に比べ、規模が大きく分かり易いので記念写真を撮る。



  <中央構造線溝口露頭にて>


バスはそのまま北上し、高遠/諏訪境界の杖突峠で下車。諏訪盆地を見渡しながら矢澤先生から、中央構造線がフォッサマグナ(静岡―糸魚川構造線)の隆起及び移動により消失・分散した様子の説明を受けた。
今日は先生に一日中講義を受けたことになる。本当にありがとうございました。別れる丁度そのとき、八ヶ岳の上に珍しいレンズ雲が浮かんでいた。最後の宿は諏訪湖畔の「ホテル鷺の湯」。


☆最終日
開館30周年記念特別展の北沢美術館に入る。入り口でエミール・ガレの「ひとよ茸ランプ」を見る。特別展のルネ・ラリックの優雅な作品の数々を楽しむこと出来た。館長さんが我々のために1時間近くも付き合ってくれた。感謝。
高島城の天守閣は45年前に復興された由。天守閣を入れて記念撮影をする。

高島城の築城は日根野高吉(信長・秀吉の下で普請の経験)。慶長6年1601高吉転封の後、諏訪頼水が入封、幕末まで諏訪氏はここに住むことができた。

来年は諏訪大社の御柱祭りとて上社に参詣をする。直径1mの御柱は思ったより細かった。
野沢菜センターを覗き、塩尻へバスで移動、塩尻駅に全員無事に14時30分到着。駅前で解散し、それぞれ東京方面は14時58分の特急で、関西方面は15時03分の特急で帰宅した。


初日の台風遭遇にどんな旅になるかと思ったが、その後は快晴に恵まれて、多くのことを学ぶことが出来た有意義な旅であった。
以上
 


<諏訪・高島城にて>
 

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