第14 回東大ワールドカフェ関西 開催報告書

 

幹事 小林 良洋(平成21 年農)

 

 

第14 回東大ワールドカフェ関西を下記の通り開催しましたので報告いたします。

 


 

 

テーマ:「科学技術立国再興のために 〜STAP 事件は想定内 現場の実態と課題〜」
キーノートスピーカー:新田 英之 氏 工学博士(東京大学)

日時:平成 28 日時:平成 28 年 6 月 4 日(土)
ワールドカフェ:13:30〜17:00、
懇親会:17:00〜19:00
場所:大阪市西区靱本町1-18-6
ベルパーク靱本町ベルアールビル2F『大阪クロススクエア』

参加者:16 名
主催:関西東大会、 協賛:東京大学卒業生室

 

 

 

 

新田氏は、平成14 年東京大学工学部電気工学科卒業後、キュリー研究所在籍時に次世代磁気ピンセットFRMTを発明、蛋白質一分子がDNAをねじる動きを世界で初めて観察した。
マイクロ工学・ナノ科学を専門とし、電気・機械工学、生物物理学、分析化学、植物学/農学など、幅広い分野へ影響を与える先駆的業績により、分野の異なる3 つの学会から学会賞等受賞。リンダウ・ノーベル賞受賞者会議参加者。文部科学省科学技術政策研究所専門調査員、多数の国際学術雑誌のエディターやレフリーを務めながら、現在はミリマン・インクで製薬・ヘルスケア業界を中心にコンサルティング業務に従事している。

 


<<講演要旨>>

 

1. 日本の研究力(論文生産力)の惨憺たる現状


・ 2,000 年過ぎから日本の論文数が停滞し、国際競争力が急激に低下した。
・最も競争力の高かった理工系の論文が大きく減少した。
・高注目度論文数や注目度も低迷し、特に分野調節被引用インパクトの順位は更に低下
(=世界と戦える分野が限られている)。
・拡大を続ける研究領域での日本の参画数が伸び悩む

(=多様な新分野の拡大に付いて行けていない)。
・計算機科学分野が特に弱く、世界の流れに取り残されている。

 


2. 何故衰退したか(研究者を取り巻く環境)


・大学教員の研究以外の業務負担増

・大学への公的研究資金が先進諸国に比べ半分程度でかつ増えていない。
・大学の研究従事者数が先進諸国に比べ低くかつ増えていない。
・国立大学においては、法人化前後から基盤的研究資金の減少と、過度な資金の集中により、研究基盤力の弱体化、論文生産性低下、更に多様な研究分野で世界と戦えなくなりつつある。

 


3. 研究者の歴史的、経済的、社会的位置付け


・ 尊敬されない
・生涯賃金が低い
・社会から理解されていない

 


4. 科学技術振興のために取られた改革

 

・ポスドク一万人計画(1,996〜2,000 年):研究の世界で競争的環境下に置かれる博士取得者を一万人創出するため、文科省が期限付き雇用資金を大学等に交付。
・上記計画にのって博士課程に進学した人材が博士号取得する頃から、国立大学法人化の交付金が10 年間で13%減額。ポスト数が減り、ポスドク一万人計画で量産された博士が職に溢れた。

・同じ頃「研究者の流動性を高め、国際競争力を高めるため(文科省)」、理工系分野を中心に教員ポストに任期制を導入。採用時公募が義務化。
・教授、助教授、講師、助手の講座制から、若手も独立して研究室を運営できる欧米型の組織へ改変するため、助教授を准教授、助手を助教と改名した。(講師の削減)
・「骨太の方針」で「国立大学法人への運営費交付金を抜本的に見直す」とし、2016 年から予算の更なる重点配分を開始。「国立大の研究崩壊へ引き金が引かれる」
・研究室の構造改革による世代間の不公平
・助教、ポスドク世代への圧力
・助教、ポスドク世代の声

 


5. 今後の見通し


・博士1万人計画とその余波で量産され、現在任期付きで研究を行う世代が現在30〜40代半ば。この世代で日本人によるアカデミアの実験・モノづくり研究はほぼ終り。
・このまま現実を受け入れるか、若い外国人研究者を呼び込むかの二択を迫られている。

 

 

 講演では、応用物理学会の特別シンポジウム「科学と産業の凋落と再興:応用物理と未来社会」における豊田長康氏(鈴鹿医療科学大学)による「日本の大学の研究競争力はなぜ弱くなったのか?」を通して、我が国の研究力の現状と研究者の取り巻く環境について解説いただき、氏の研究者としての体験や同世代の研究者の声をご紹介いただきました。そして今後はかなり厳しいといった見通しを示されました。
講演の後は「どうすれば優秀な研究者や学生を研究業界に引き込むことができるか」「若い優秀な外国人を受け入れるべきか」「外国人を受け入れない場合、どうやって世界の競争に勝っていくか」の3つのテーマについて参加者間で意見を交換しました。参加者は、氏が望む「科学技術立国再興」について考えるよい機会になりました。


キーノートスピーチとワールドカフェの後は、その場を使って軽い食事をしながら世代を超えた交流を深めました。今後も魅力的なキーノートスピーカーと興味深いテーブルテーマで卒業生のネットワークを広げていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

関西東大会のホームページへ



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